見えてきたプーチンの本気

連日、テレビでもYOUTUBEでも悲惨なウクライナ情勢が報道され、皆さんも心を痛めている事でしょうね。ロシア軍がウクライナ国境に集結している時に、緊張はロシアの輸出の6割を占める原油と天然ガスの価格高騰につながり、産油国ランキング一位の米国と第三位のロシアにとっての利益になるため、緊張は長引き、戦争が始まっても短期間と言う見解が米国から出されていましたが、ロシアの侵略は止まらず、現在の悲惨な状況に陥ってしまいました。

第二次世界大戦が終わって77年、まさか世界でこんな悲惨な戦争がまた起こるとは・・・・・ではありますが、プーチンが末期がんである説、パーキンソン病説など取りざたされていますが、もし彼が正気のまま、全世界を敵に回してウクライナを攻める理由について考えてみました。

先の戦争が終わって、世界は米国とロシアの前身である旧ソビエト連邦に二分されていました。つまり米国の民主主義陣営と、ソビエトの社会主義陣営ですね。欧州ではポーランド、ドイツの半分、チェコ、ハンガリー、ルーマニアまでが旧ソビエトの傘下でしたが、1989年にドイツを二つに分断していたベルリンの壁が崩壊され、東欧諸国は旧ソビエトの支配から、民主主義、自由主義の西側陣営に加わっていきました。

そして総本山であるソビエト連邦も1991年12月に崩壊し、現在のロシア連邦へとなったわけです。旧ソビエトと言う国家は、石油会社のような大企業から、町の小さな食料品店まで全てが国営、全てが公務員と言う驚愕のシステムで、今の北朝鮮、改革前の中国のような国だったのですから人々は自由を求めて歓喜したのです。しかし・・・・翌1992年からロシアの市場が解禁されると、世界中から様々な製品が流れ込み、ソビエト連邦末期時代に深刻だった品不足からあっという間に品物であふれたのです。

これは良い事ですが、ひどいインフレがやってきて92年のインフレ率はなんと2600%、つまり1年で物の値段が26倍になったのです。当然、国民は困窮し、民主主義を憎むようになりました。その後1998年にはロシアの通貨であるルーブルが下落し、対外債務のの返済に困ったロシア中央銀行はIМF(国際通貨基金)から緊急融資を受けたもののルーブルの下落は続き、とうとうロシア中央銀行は90日間の対外債務の支払いの停止(デフォルト)を起こしました。これが1998年のロシア危機です。

その後、現在のプーチンが大統領になり、就任当時1バレルあたり20ドルだった原油価格は一時140ドル台まで高騰し、ロシアに膨大な利益をもたらせ、ロシア国民も裕福になったのです。ですからロシア国民の中には熱狂的なプーチンの信奉者がいるのです。

次に米国の事を書きます。米国と言うのは20年先、30年先までの国家戦略を持った強大な国であり、現在の民主主義、自由主義の中心である事は疑う余地がありません。では米国は穏やかな民主主義の番人で、平等な裁きを行う大岡越前のような存在なのでしょうか?これが違うのです。米国には軍隊が二つあります。一つは武器を持った軍隊。そしてもう一つが金を持ったヘッジファンドと言う軍隊なのですが、このヘッジファンドを使って米国は弱った国を攻めにかかるのです。

手口はこうです。経済的に弱い部分がある国を見つけると、米国のヘッジファンドが大挙して、その国の株式市場と通貨に売りを仕掛けます。通貨安と言うのは恐ろしいもので、今の日本もそうですが、例えば円が1ドル210円になると海外から物を買うために2倍のお金を支払わなければならなくなり、超インフレになり、国民生活は破綻してしまいます。それを米国のヘッジファンドはロシアでも、1997年のタイバーツの暴落から始まるアジア危機も、ヘッジファンドを使って売り浴びせたのです。

通貨安と株式市場の下落に手も足も出なくなった各国政府に、米国は救済者の顔をして、傘下のiМFに緊急融資をさせて急場しのぎをするのですが、この混乱時に米国ヘッジファンドは、その国の都心部の一等地、優良企業の株式、ゴルフ場などを二束三文で買い取り、後は経済を元に戻します。有名どころで言えば韓国のサムスン電子。ここは60%の株式が米国資本に押さえられています。つまり利益を上げても配当金で米国が取ってしまうのです。

日本もやられました。1990年、日本は本当に強い国で、世界中から資金が集まる国でした。日経平均株価は38915円、東京都の土地の価格だけで米国全土が買えるほどでした。しかし米国リーマンブラザーズの売り仕掛けによってバブルは弾け、株価も土地も急落しましたが、その後も米国からの圧力は続き【日本の銀行は株式持ち合いでリスク資産である株式を持ちすぎている】と言う銀行の自己資本比率をグローバルだと押し付けられ、2000年から銀行の持ち合い株解消売りが続き、2003年4月には日経平均株価は7600円まで売られたのです。この間、米国の格付け機関は日本国債を何度も格下げし、ヘッジファンドの日本株への売り仕掛けを助けました。

そしてその安値の日本の優良株を例によって、米国資本がごっそり買ったのです。ソニーの株主の半分以上、トヨタ、ホンダ・・・・米国資本は高額の配当金を要求し、安い税金で毎年二回、配当金を受け取り続けています。これが米国と言う国の戦略と本質であり、日本のバブルが崩壊させられ、米国から受けた圧力と、富を奪う手口を研究し尽くしている中国は簡単に米国の言いなりにならないのです。プーチン自身も1998年のロシア危機にはひどい貧困に陥ったそうです。

ロシア内部にも西側の民主主義、自由主義を歓迎する若者が多くなってきましたが、ロシア危機で奪われた富は国民には返っておらず、ロシアの平均賃金の中央値は45000円に過ぎません。プーチンが病気でなく正気だとすれば、米国主導の金もうけの為の民主主義に対する挑戦に他ならないと私は考えます。なお、今回のロシアのウクライナ侵略を支持する国も決して少なくない事は知っておいたほうが良いと思います。

最後に私の予測では、まだまだ円安が進むと思います。まずやるべきことは、資産の全てを円で持たない事です。私の場合は香港の銀行にお金があるので、日本円と米ドル、中国元に三分割して保有してあります。(薬膳ビジネスでかなり減ってしまいましたけど) 日本円と米ドルとユーロでも良いでしょう。ただ日本の銀行は手数料が高いので、ご自分でお調べになってください。