みなさんこんばんは。みなさんも最近のニュースで知っておられるかもしれませんが、日本の株式市場を表す日経225指数とトピックスがバブル崩壊以降、30年ぶりの高値にまで上昇してきました。これはガイジン買いによるものです。この上昇には市場関係者も驚きを感じており、日本株の上昇を予測していなかった国内勢のヘッジ売りの買戻しなどで上昇が加速しています。
確かに、2023年3月末決算は輸出企業を中心に円安が続いたことやコロナ後の経済の回復で過去最高の業績を出す企業が多かったのですが、来期は少し減益を予測する企業も多く、この突然のガイジン買い(直近一か月で約5兆円の買い)には首をかしげる関係者も多いのです。しかし、株式市場と言うのは決して【今】を売買するものではなく【未来】を予測して動くものでありますから、特に私などはこの動きを否定せず、日本のなんの未来を織り込みに行っているのかを考えなければなりません。
日本の未来・・・・私は残念ながら明るく素晴らしい未来が想像できません。今後の日本はさらに高齢化社会となって、現在収入の約半分近くになっている年金、健康保険を加えた国民負担率がなお上昇するのは間違いなく、実質賃金は下がる一方です。しかしそれはあくまで国民目線で見た未来であって、株式を上場するような大企業の未来とは別なのです。アベノミクスで消費税を上げ、企業への法人税を下げ、竹中平蔵あたりが音頭を取った派遣社員制度により賃金を下げ、大企業は内部留保を増やし続けています。グラフを掲載しますが、最新のテータでは軽く500兆円を超え大企業はお金をため込んでいます。
そのため込んだ資金を設備投資や研究費や、給料を増やすことに使えば良いのですが、大企業はせっせと自社株買いを続け高株価を維持することに躍起になっています。しかし一部大企業の中にはユニクロのファーストリテーリング社のように従業員の給料を最低数パーセントから最大40%引き上げると発表したところも出てきており、同社は新入社員の初任給は月255000円から30万円に引き上げます。この動きが大企業全体に広がり、中小企業にまで賃上げが広がるのはかなり先にはなりそうですが、私はいよいよ日本にもインフレが到来する予感を強く感じます。
世界の国が成長する中、日本だけが成長できなかった最大の理由はデフレであったためです。この事は過去にも書きましたがデフレと言うのは簡単に言うとお金の価値よりも物の価値が下がる事を言います。反対にインフレになるとお金の価値よりも物の価値が上がる事になります。分かりやすく説明しますと、ここに三人の人間がいます。みんな空腹です。そこに美味しそうなおにぎりが一個だけ運ばれてきました。三人の持ち金は1000円だけでしたが、一人だけアベノミクス君はお金を印刷して3000円持っていましたので、結局アベノミクス君が3000円でおにぎりを買って生き延びましたが、ほかの二人は飢え死にしてしまいました。
このたとえは極論ですが、アベノミクスで安倍さんと日銀の黒田さんは実際に円を印刷したわけではありませんが、マネタリーベースを大幅に増加させました。マネタリーベースと言うのは簡単に言うと世にある日本円の量の事です。アベノミクス開始時の100兆円が軽く500兆円を突破してますから、もしおにぎりが一個しかなければ5000円になっても不思議はないのです。
成長する経済環境においては節度あるインフレは歓迎されるものです。実際日本が高度成長期にあった1960年代のインフレ率は5.4%、1970年代は8.9%、1980年代は2.5%の上昇となっていました。それが問題にならなかったのはインフレ率以上に賃金が上がっていたからです。また銀行預金にもちゃんと金利がつきましたし、今のように国民負担率も高くはありませんでした。インフレでしたがみんなが頑張れば豊かになれた時代でしたね。しかし2000年以降は日本のインフレ率はほぼ0%の横ばいを続け、物の価格は上がらず、賃金も上がらないデフレ経済にあったのです。
それが円安の影響を強く受けて昨年度には一時4%までインフレ率が上昇しました。今後日本の大企業がため込んでいる内部留保を給料の増額と言いう形で示せば、節度あるインフレになる可能性はありますが、インフレと言うのは実は制御できないものでもあるのです。みなさんはハイパーインフレと言う言葉を聞いたことがありますか?
ハイバーインフレと言うのは物価が過度に上昇することを言いますが、国際的に定義としては3年間の累積インフレ率が100%を超えることを言います。つまり3年間で物価が倍になるのですね!日本でも1970年代には狂乱物価と呼ばれた時代があり、卸売物価指数が1973年に15.6%上昇、翌1974年には31.4%上昇したことがあるのです!もっとも正常な世界の動きの中では日本がハイパーインフレに襲われることはありませんが、例えば戦争とか、大災害などで通貨が信用を失えばハイパーインフレが起こるリスクはあります。日本は円を印刷してばら撒いたのと同じですからね。
日本政府は中国や北朝鮮の軍事的圧力に対抗するため防衛費の増額をしていますが、実際は防衛力だけでは国は守れないのです。今や日本の大企業の多くの工場は中国にあります。そして中国からは毎日大量の食品が日本に入って来ています。薬膳食材もそうです。
もし中国が台湾に攻め込めば?当然台湾を守ると宣言している米国は台湾を助けに行くでしょう。その米軍はどこから出撃するのでしょう?間違いなく日本の基地からです。そして自衛隊も連携して中国と戦う。当然中国国内にある日本企業の工場は閉鎖、没収、食料品の輸入も完全停止・・・・こうなればあっという間に日本の物価は大きく上昇します。年率50%を超えても何ら不思議はありません。
植田日銀鹿総裁に課せられたのはアベノミクスの異次元金融緩和を正常化させることですが、基本的に金融緩和を続けると発言しており、一時150円台から120円台にまで円高に動きましたが、また今は137円台まで円安に動いており、日米金利差の広がりが無くなりつつある今、この円安への動きは不思議な印象を受けます。それでも私は3分割している資産は円を少なくドルを多めにしています。
最後に一つ、今後も日本のインフレが進めば誰が得をするのでしょう?それは日本国そのものです。よく言う日本の借金1250兆円・・・・そもそもこれは国の借金であって国民の借金ではありませんが、インフレになってお金の価値が下がれば実質的な国の借金とやらは減少するのです。結論として私は日本もインフレ時代に突入した。日本の株式市場の30年ぶりの高値がそれを示していると考えます。