苦悩する香港

かつて【東洋の真珠】と言われた香港が今、揺らいでいます。日本人にとっても行きやすい外国として人気を集め、私も40年前、初めての海外旅行先は香港、マカオの旅でした。

今回は私は海外出張にまず香港に向かいました。そうですね香港で仕事をしている時も3か月に一度ぐらいのベースで日本と行き来しておりましたし、台湾でもビジネスがあったので合計すると香港発、香港着の飛行機の搭乗回数は100回前後になると思います。それが今回、関空から香港へ向かう便に異変が起きていました。出発ロビーで待っている時から人の少なさを感じてはいましたが、飛行機の中も空席が目立っています。こんな事は初めてです。

調べてみますと香港に行く日本人客はピーク時の約10分の1まで落ち込んでいます。いや日本だけでなく世界中から観光客が来なくなった。中国本土からもです。

コロナ前の2018年、香港を訪れる観光客はなんと年間6500万人!インバウンドで大騒ぎしている我が国の今年の訪日客数が年間約3500万人程度ですから、いかに香港が観光立国として人気を集めていたのかがわかります。それに香港は日本よりずっと狭く、東京都の約半分、札幌市と同じぐらいの面積なのです。そこに年間6500万人もの人が来るわけですから、土地の価格が世界一になったのも納得です。

コロナが明けた2023年、昨年度に香港を訪れた観光客は3500万人と発表されましたが、中国本土からの観光客を除くと世界中の観光客が減少しています。

すでに繁華街では一等地でも空き店舗が目立ち、マンゴープリンが有名で日本にも出店していた許留山(ホウライサン)などが倒産、廃業に追い込まれるなど香港の経済はガタガタになってています。香港政府観光局も相次いで観光客誘致に向けてキャンペーンを打ち出し、無料航空券(燃料サーチャージや空港税は必要)を配ったり、一人100香港ドル(約2000円)のお食事券を出したり、また大型イベントも開催しましたが、本格的な観光客回復には結び付いていません。

今回も香港から出国する際には、イミグレ出口で観光局のアンケートを受けましたが、時間がなく、東京の香港政府観光局のほうにメールを出しておきます。としました。

私が思いますに・・・・・香港政府は根本的な事を最重要と考えていないようです。香港から観光客が消えたのは、確かにキッカケはコロナ渦でしたが、円安のせいでも香港の観光に魅力がなくなったわけでもありません。理由はただ一つ。香港が中国になってしまった!からなのです。怖いんです、誰かが自分を監視していないか?突然拘束されたりしないか?そういう不安が今の香港にはあるのです。

私は香港の永久居民の資格も持っていますし、何一つ不安など感じませんが、香港政府観光局が本当に世界の観光客に戻ってほしいと望むならば、航空券を配るよりも観光客が多い場所に警察官を増員し、中国政府からも香港に来る観光客の監視などしないと約束を取り付け、安全都市宣言を出すことです。少なくとも私が見る限り香港人はたくましく生きており、嫌いなはずの中国本土へ多くの香港人が食事やマッサージに向かっています。

調べてみますと、11月の平日ですが、香港のホテルに三泊して大阪から航空券込みで5万円台で行けるのです。ハイアットリージェンシーや、シェラトンに滞在しても10万円以下です。以前の香港の価格を知っている私にはお得感しかありません。普通に観光し、薬膳の店を回る分には何ら問題はなく、香港への旅もご検討ください。少なくとも私の第二の故郷ですから応援しています。