日本の未来は?

こんにちは。少し後進に時間をおいてしまいました。やっと本日は秋らしい朝を迎えましたが、私は日本に今後起こるであろう大きな問題を考えて、心が晴れないそんな朝です。

私にはまだ今年高校に上がったばかりの娘もおりまして、よく考えるのは”この子が大人になった時、いや私の歳になった時、日本はどうなっているのだろう?”です。思い起こせば我々の生きて来た時代はまだ幸せでしたね。日本が高度成長時代にいる中で学校を卒業し、仕事が出来たのですから。日本人に生まれたことに誇りも持てたものです。しかし・・・・これからの日本の未来を考えると、今の若者、今から生まれてくる子供たちの将来がとても心配なのです。

もちろん少子化対策に歯止めがかからず、現行の国民皆保険制度や、年金制度の維持、継続を数少ない若者が支えなければならない。そうでなくても今や収入の半分を各種税金と保険料、年金で搾取されているのですから、この先、収入の6割、7割を取られてしまうと、どうやって生きていけば良いのでしょうね。しかしそんな事よりも今はもっと危うい事が日本にはあるのです。

今日は私が危惧している今の日本にある最大の問題なのです。数日前、【ついに日本円の紙くず化は最終ステージに突入】と言うレポートが出ました。書いた人は米モルガン銀行の元日本代表の藤巻さんと言う人です。彼は為替のプロ中のプロです。これを読みますと、10月末の日銀金融政策決定会合において、YCC、つまり長短金利操作の再修正が発表され、1%を超える金利上昇を一定程度容認するが、金融緩和の継続を維持すると決定したが、これはもう日銀の最終防衛ラインも突破された危険な状態である。と言う内容です。

彼の文章は金融のプロならすべて理解できますが、一般の主婦には難しいので私がなるべく簡潔に書かせていただきます。まずアベノミクスに端を発した金融緩和とは?から説明しますね。要は日本円を刷って金融市場に流し込む事です。本当は日銀が日本国債を買い続けて市中へお金を流す事ですが簡単に説明します。一般的に各国の中央銀行が金融緩和を行う場合は、何か大きな金融危機が起こった時に、金融緩和を行い金融危機を防ぐのです。例えば2008年に米リーマン、ブラザーズ社の倒産で株式市場が暴落し、世界に金融危機が広がりました。この時米国は大量の資金をマーケットに流し込み、金融危機を救いました。これはとても大規模でQE1からQE3まで何度も大規模な金融緩和を行いましたし、最近ではコロナショックで各国政府が一斉に金融緩和を行いましたね。

金融緩和を行うと、何が起こるのでしょうか?市中に資金が流れ込みますからリスク資産である株式市場が上昇し、資金繰りに窮していたゾンビ企業なども生き残りますが、物の数が同じで金が増えるのですから当然インフレが起こります。皆様もご存じのように欧米で年利9%ものインフレが起こりましたね。慌てた欧米の政府は今度は金融引き締めを行って、現在はインフレ退治に躍起になっています。具体的には金利を上げ、市中から資金を吸い上げているのです。

今年10月の各国の政策金利を見ますと、米国がコロナ後の0.25%から5.5%に、以下英国0.1%→5.25%。カナダ0.25%→5%。アジアでも中国が3.45%、香港は5.75%、インフレがすごいメキシコなどは8.25%もの高金利になっています。そしてわが日本はコロナ前も今も、政策金利はマイナス0.1%なのです。この政策金利は銀行預金の金利にも反映されますから世界の人々は日本の何百倍もの預金金利を手に入れています。いかに今の日本が異常な状態かお判りいただけると思います。

こうやってインフレが起こった時や、金融危機が収束した時には、速やかに金融緩和を中止して金利を上げ、市中から金を回収しておかないと、次に金融危機、経済危機が起こった時に、政府、中央銀行は何も打つ手がなくなるのです!

では何故日銀が他国のように政策金利を上げて、金融引き締めに動かないのか?マジ世界の中で日本だけですから。

それは金利を上げてしまうと日本の金融機関、そして日銀がとても大きな含み損を抱えるからです。藤巻さんの試算によりますと、2002年9月末(政策金利0.25%)と同年12月末(長期金利0.5%)時点での保有国債の含み損の増加は、地方銀行合計で1兆6000億円、生損保15社で5600億円の含み益から3600億円の評価損に、そして日本国債を買いまくって金利上昇を抑えている日銀は8849億円の含み損が8兆8000億円に拡大しています。そして今回日銀が容認した長期金利1%で計算しますと、地銀が3.2兆円、生損保が12.1兆円、日銀はなんと24.6兆円もの含み損を抱えることになってしまうのです。政策金利が上がれば当然国債価格、債券先物は値下がりしますからね。

政策金利1%でこれですから、他国のように金利を上げると、日銀そのものが資産よりも負債が多くなる債務超過に陥ってしまいます。会社であれば倒産です。倒産会社の発行する手形など誰も受け取りたくはありませんよね。つまりアベノミクスから続いている日本の金融緩和は出口が見つけられないのです。だからこそ黒田氏の後の日銀新総裁の引き受け手がなかなか見つからなかったのです。

すでに日本は20か月連続でインフレが続いており、日銀が金融緩和の目的として掲げていたインフレ率が2%になるまで金融緩和を続ける。はとっくに達成し、ガソリンなどの補助金を使っても2.8%のインフレ率になっていますが、頑として日銀は”まだ物価上昇は確実ではない”と言い続けています。おそらく日銀の考えは、そのうち欧米のインフレは収まって利下げに動くだろう。だからそれまでは長期金利1%死守するぞ!だと私は思いますが、今回の世界的なインフレは実は根が深いと思うのです。

確かにコロナでばら撒かれた大きな資金がインフレを呼び込んだのは間違いありませんが、ロシアのウクライナ侵攻、今回のハマスとイスラエルの戦争を見ますと、世界は大きな転換点に来ています。これまでの世界は大きな戦争がない時代でしたから(少なくとも大国を巻き込んだ)平和と言う名のもとにグーロバル化が進み、世界的な大企業は人件費の安い国に工場を作ってきました。そして人件費が上がってくるとより安い国に移動していくのです。例えばユニクロの工場は中国からベトナム、インドネシアへと広がり、最近ではバングラデシュ、やがてはアフリカも所に入れているでしょう。しかしそれは世界が平和で戦争がなく、物流が安定している事が条件です。

今、世界的な大企業は人件費が高くても政治的に安定している地域に工場を移動させ始めています。日本も同じです。月給3万円の人を使って何かを作るよりも、月給25万の人を使って加工、製造すれば当然コストは上がりますからね。

日銀がYCCの修正を行った後、通常ならば日米金利差が縮小しますから円高に動くはずでしたが、その後ドル円は1ドル151円60銭と昨年の最安値を更新してきました。どこまで円安が進むのかは私にも見えませんが、藤巻氏はもっとひどいことになると書いています。何度も書きますが、全ての試算を日本円だけで持たないように。